例え不動産からの家賃収入によるキャッシュフローが給与収入を超えたからと言って、そう簡単にFIREしてはいけません。これは私がいつも肝に銘じていることです。不動産収入は比較的安定しているとは言え、給与収入と比べると変動しますし、サラリーマンを辞めてしまうと不動産投資へのサラリマンとしてのメリットもなくなってしまいます。あまい幻想を捨てる為にも、今回は不動産投資で簡単にはFIREできない理由を説明します。
家賃収入は不安定
言うまでもなく、もし退去者が出てしまうと家賃収入は減少します。私も過去に16戸所有時に、短期間に7戸の退去者が出てしまい、収入が激減したことがあります。一気に50%近くの空き室が出たことになります。そうなると収入が一気に激減するだけでなく、部屋のリフォームにも多額の費用がかかってしまいます。私は過去約18年間、賃貸不動産業を行っていますが、それほど退去時期が重なったことは1回だけですが、やはりあり得るのです。その16室に関して今は1年半以上ずっと満室が続いているのでどうしても考えが甘くなりがちですが、退去者が出ること、またそれが重なりえることは常に考慮に入れる必要があることを感じます。
入居者が入らなくなる?
普通に退去、部屋のリフォームをして賃貸募集を出来ればまだ良いですが、時として最悪の事態が生じるリスクもあります。心理的瑕疵(入居者の自殺)等です。
心理的瑕疵が発生してしまうとリフォーム代金は跳ね上がります。通常のリフォームをしただけでは入居者が付かない為です。また発見が早ければまだ良いですが、長期間見つからず時間が経った後に匂いとうで発見された場合、さらに大規模な修繕等が必要になってしまいます。また貸し出せたとしても家賃は大幅に下げる必要が出てしまいますし、入居者も簡単には見つからなくなります。他の部屋の人も逃げてしまうかもしれません。その様な事件はそれ程多く発生しないと思うかもしれませんが、実際には結構発生しています。インターネットで事故物件の確認もできたりします。そうなってしまったらFIREどころではなくなり、十分な貯金が無い場合にはまた就職を考えなければならないかもしれません。自殺者に対する保険もありますので、リスク軽減の為には入るのも良いでしょう。私も一棟一番借金と家賃収入の多い物件は自殺者保険に入っています。
急な大きな出費が必要になる
物件は古くなるものです。経過とともに大規模修繕が必要な時期は必ずきます。物件の規模にもよりますが、外壁塗装をする場合、小型のアパートであっても百万円単位での出費が必要になります。また大型の鉄骨造やRC物件であれば、500万円以上かかることもあるでしょう。私の所有物件もその程度かかると試算しています。もし家賃収入が殆ど生活費で消えてしまう程度しかなかったら、破産してしまうかもしれません。
サラリーマンのメリットが無くなる
サラリーマンを辞めてしまうと一般的に銀行融資は非常に難しくなります。逆に言うと特に大手企業のサラリーマンや公務員は銀行融資を得る為の与信としてはとても良いということです。辞めてしまうとそれ以上新規の物件を取得したいと思っても、拡大は難しくなってしまいます。家賃収入は安定しているとは言え、給与所得程安定していないからです。
賃貸不動産業ではFIRE出来ないのか
FIREした後の専業大家は必ず融資を得られない、という訳ではありません。賃貸不動産業に長年の経験のある経営者であれば融資を受けることも可能ですが、やはりサラリーマン程簡単ではなくなるでしょう。FIREする前には十分な収入が得られる規模までしっかりと拡大してからFIREを決断する必要があります。十分規模拡大を行い、多少の空き室が出る前提であったも十分な家賃収入を確保出来る必要があります。また、家賃収入が無くなったとしてもしばらく(数年)暮らせるだけの貯金も必要です。その様な状態となったのであればFIREも可能です。
どうなったらFIREして良いのか
では、毎月の生活費に対してどれくらい余裕のある家賃収入が得られるようになったら、また家賃収入が無くても何年暮らせるだけの貯蓄があればFIREは可能なのでしょうか?
それは全く人それぞれであって、自分で決めるしかないと思っています。私の十分な家賃収入と貯蓄もあると思っていますが、まだFIRE出来ていません。やはり出来るだけリスクを避ける為にもより十分な備えが必要だと思っています。
皆さんはどの程度あればFIREする予定でしょうか?
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